平成24年度はアフリカに調査し、ナイジェリア、ケニア、ウガンダ、タンザニアにおける二輪車の販売・流通市場、二輪車補修部品の販売・流通市場の実態把握を進めたことが一番の成果である。これまでアフリカの二輪車市場に関して明らかにした研究はなく、本研究が初めて明らかにした。調査から明らかになったことは以下のようにまとめられる。 西アフリカ(ナイジェリア)および東アフリカ(ケニア・ウガンダ・タンザニア)ではインド企業であるBajajのBoxerというモデルが寡占的な地位を占め、日本車の数は限定的であった。2000年以降、アフリカでは中国車の販売が急増していたようであるが、ここ数年、インド車の成長が著しいことが明らかになった。この背景には、Bajajがアフリカ各地に販売拠点をもうけ、一部、完成車の組み立てを行っていること、中国車の品質がインド車よりも劣ること、といったことが挙げられる。日本車は限定的であったが、ホンダが現地生産を進めていること、ヤマハは国際機関やNGO等向けに高級車市場を焦点としていること、といった企業による差別化戦略もみられた。 以上のことから、中長期的な視点のもと、日本企業はインド企業をコンペティターとした戦略を定め、それに適した組織をアフリカにおいて継続的に構築する必要があるだろう。こうすることによって初めて日本企業はアフリカという新興国市場に適応したイノベーションを生起させることとなり、アフリカでの事業展開は積極的なものとなることが期待できる。
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