研究課題/領域番号 |
22730330
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
井原 基 埼玉大学, 経済学部, 准教授 (00334144)
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キーワード | 流通 |
研究概要 |
タイにおけるハイパーマーケットの国際化とそのメーカー主導型流通チャネルへの影響を調査するのがこの研究計画の全体像であるが、本年度は、タイにおけるハイパーマーケット国際化について一定の研究成果を取りまとめて学術雑誌に投稿し、そのメーカー流通への影響についてはインタビューや資料収集を行った。 このうちハイパーマーケット国際化についての研究内容を具体的に述べる。これまで筆者が重点的に研究してきたのはテスコ=ロータス社であるが、タイのハイパーマーケット全体をとらえるために今一度資料を収集し、特にeuromonitor社のアジア市場データを活用した。また、自身の研究をハイパーマーケット国際化やタイ・アジアの流通に関する研究史のなかに正確に位置づけるため、先行研究の検討を今一度綿密に行った。これらの作業を踏まえて中間成果を取りまとめ、英文の学術雑誌The International Review of Retail, Distribution and Consumer Research誌に投稿を受け、レフェリーの意見をもとに改稿作業を行った。 次に、メーカー流通への影響については、トイレタリー・化粧品関連の日系企業に対してインタビュー調査と資料調査を実施した。メーカー側の反応には2つのタイプがあり、ハイパーマーケットの国際化に対応して商談を一本化し、アジア域内での商談手続きを標準化していくようなパターンがその一つである。もう一つは、ハイパーマーケットの進出にはある程度対応するが、伝統的な卸・小売網を活用し開放的チャネルを維持するものである。前者は先進的であるが、後者もタイの流通において根強さを残していると判断される。 タイにおける流通の近代化・国際化は90年代から進んでいるが、今後はその内実が注目されることから、本研究には一定の意義があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハイパーマーケット国際化についての成果を取りまとめ、英文学会誌への投稿まで至ったことは一定の進展があると考えている。ただし、英文学会誌の査読のプロセスは予想以上に長期化し、レフェリーの要請に応えるために多くの追加的な調査が必要になった。しかし科研費の資金を活用し、着実に査読プロセスは進展していると考えている。他方、メーカー流通の調査については成果を発表する段階ではないが、調査によって一定の知見は得られたのではないかと考えられる。ところで、様々な理由により本研究費での現地調査の機会を持てなかった。これについては日本国内のタイに進出している企業への調査、またデータベースや各種現地資料を日本に取り寄せて入手し、代替的措置を講ずることができたのではないかと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ハイパーマーケット国際化とその現地流通への影響に関する現在投稿中の論文の改稿作業を行い、正式な掲載に結びつけることが最大の課題である。次にメーカー流通の変化についても、今後さらに調査を継続したうえで得られた研究成果を取りまとめ、研究期間内に少なくとも学会誌への投稿まで到ることを目指す。
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