研究課題/領域番号 |
22730338
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
原田 将 兵庫県立大学, 経営学部, 准教授 (20387517)
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キーワード | グローバル・ブランド管理 / 知識移転 / 国際マーケティング / グロ-バル・シナジー / 本社・子会社関係 |
研究概要 |
本研究の目的は、日本の非耐久消費財企業を対象にグローバル・ブランド管理における本社・子会社間の知識移転を実証的に明らかにすることである。平成22年-24年度の3年間で研究対象企業に対してインタビュー調査を行い、グローバル・ブランド管理における知識移転を知識の開発・共有・活用の視点から明らかにする。平成23年度は、グローバル・ブランド管理の知識開発・移転に関するインタビュー調査を継続的に行い、それを受けてリサーチ・メソッドの修正を図っていく予定であった。 調査の結果、新興国子会社からの知識移転が増大していることが判明した。本研究は、基本的に知識開発の拠点として先進国を、そして、知識の移転・活用先として新興国を想定していた。しかしながら、近年、新興国子会社発の知識移転が増大していることが明らかになった。平成23年度は、こうした事実の発見に留まり、その要因や条件などについて検討できなかった。こうした事例を積み上げると同時に、その背景について検討することは今後の課題となる。 また、平成22年度同様、知識移転には企業要因が大きく影響していることが明らかになった。特に、本社の戦略志向、組織構造が大きく影響を与えている。組織構造は平成23年度の研究成果の一つである。組織構造において、権限関係(特に予算配分)が知識移転を促進したり制限したりする事実を確認できた。ただし、この発見は、ある事例分析の結果によるものであり、一般性をもつかどうかに1ついては慎重な検討を必要とする。譜
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、日本企業の非耐久消費財を念頭に研究を計画していた。しかしながら、担当者へのアクセスの困難性、管理内容の複雑性から、非耐久消費財企業の調査が思ったように進展しなかった。この問題は、対象企業を耐久消費財にも広げることによって、現在クリアされている。本年度は成果を論文として公表することを目的としていた。本年度は、3本の論文を公開することができた。
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今後の研究の推進方策 |
対象の複雑性に起因するインタビュー調査におけるアクセスの困難性は未だに存在する。この問題をクリアするためには、実務家の集まる研究会に出席し、人的コネクションを強固にする必要がある。幸い、私は、約400名以上が会員になっているグローバル・マーケティング研究会(代表者:明治大学大石芳裕教授)の会員であるため、同研究会を利用した人的ネットワークの構築が可能である。また、新興国子会社発の知識移転問題については、本研究の想定外の事象であるため、多くの事例研究を積み重ねる必要がある。
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