研究課題/領域番号 |
22730348
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
前田 陽 明治大学, 商学部, 准教授 (30451454)
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キーワード | 会計学 / 管理会計 / 原価管理 / 原価改善 / 経営システム / 自律的組織 / 利益管理 |
研究概要 |
本研究の目的は、製品やサービスの原価改善を図るためのシステムを、企業全体の経営システムおよびその組織コンテクストの中で、いかにして機能させるべきかを明らかにすることである。本研究の遂行のため、本年度はまず原価改善システムを機能させるために必要な原価維持が、トヨタ自動車において、どのようにして構築されてきたかを文献調査を通じて明らかにした。その成果は「トヨタ自動車における原価管理」(『産業経理』第71巻第3巻)という形で公表した。また、理論の拡張性を考える上でも、製造業を中心に探究された先行研究の知見がサービス業をはじめとする他の産業にも当てはまるのか確認する必要から、過年度同様、平成23年度も複数回、イトーヨーカ堂において実務を行なった当事者にヒアリング調査を行なった。そして、流通チェーンのような企業形態において、原価改善を図るには店舗開発の段階から行なう必要があり、その店舗開発(出店管理)のシステムが企業グループ全体の経営システムと整合されていなければならないことが明らかになった。そのために、チェーン組織においてはどのような出店管理システムが構築され、どのようなプロセスを通じて運用されているかを明らかにした。この研究成果については日本会計研究学会・全国大会(平成23年9月19日)で報告を行なった。さらに戦前における日本企業の管理会計システムの生成・変化を探るべく藤野准教授とともに研究を行ない、日本原価計算研究学会・全国大会(平成23年9月2日)およびAccounting History Review Conference(平成23年9月13日)で報告を行なった。これらの研究成果を通じて、申請段階における目的をある一定程度果たすことができたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は成果を公表論文1本、研究発表3回という形で明らかにすることができており、おおむね順調に研究を進められていると思われる。しかし、現在もいまだ研究の領域を広げている最中にあるため、それらをまとめるという段階には至っておらす、それぞれの研究成果の整合を図るという点において改善の余地がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究もヒアリング調査と文献調査という2つの手法を並行して用い、日本企業における原価改善実務そのものと、原価管理システムと経営システムとの結合を明らかにしようと考える。製造業とサービス業という業態の違う企業でも原価改善は必要であり、その経営システムおよび組織コンテクストの共通性を見出せるはずである。従って、平成24年度も多くの事例に当たって、その理論化に取り組む予定である。
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