研究課題/領域番号 |
22730364
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
小酒井 正和 玉川大学, 工学部, 准教授 (50337870)
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キーワード | 会計学 / 経営学 / 管理会計 / インタンジブルズ |
研究概要 |
本研究の目的は、管理会計論およびマネジメントコントロール論の観点から、IT組織特有の業績評価システムのあり方について検討し、業績評価システムの構築によるIT組織の組織変容について考察を行うことである。本年度は文献調査と訪問調査を通じて、以下のような成果を得た。 1.IT組織の特性に関わる知見のブラッシュアップ 文献研究と訪問調査によってIT組織の組織文化の変革に関わる知見について精緻化することを目的として、既存の経営学書やIT関連の書籍などを調査すると同時に、企業のIT担当者や経営企画担当者への訪問調査を行った。その結果、昨年度の研究業績を進歩させて、成果として「インタンジブルズの管理会計(共著)」、「The Performance Evaluation Systems for Strategic-focused IT organizations : Information capital management in the intangibles-oriented management」としてまとめることができた。 2.IT組織の業績評価システムに関わる課題や問題点の妥当性検討 主に訪問調査や学会の大会や研究会での交流を通じて組織変容(もしくは組織変革)と業績評価指標との関係性に関する課題について調査することを目的として、企業事例の調査やIT担当者へのインタビューを行った。その成果として、「IT組織を戦略志向へ変革させるための業績評価システム」などの報告を行うことができた。 3.戦略志向のIT組織に必要な業績評価システムに関わるアンケート設計 上記から得られた知見をもとに、アンケート調査における仮設の設定において有意義な知見を得ることができた。その成果として、「IT組織に求められる業績評価指標のあり方一IT組織のコンピテンシー指標と貢献指標に関わる考察一」としてまとめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アンケート調査については、震災の影響による混乱およびIFRS(国際財務報告)への対応の急務というIT組織に大きく関わる経営課題が相まって、2011年度の前半に行うことは困難であると判断した。そのため、2011年度の当初はアンケート設計における仮説の再設定、訪問調査による業績評価指標の実態調査へと切り替えた。その結果として、ベストプラクティス企業と言える数社への訪問調査から非常に有益な示唆を得ることができ、学会報告や論文の執筆に役立てることができた。したがって、アンケート実施は遅延したものの研究の目的はおおむね順調に進展できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、アンケート調査を実施している予定であったが、震災といった不測の事態もあり、延期した。現在のところは、封筒の印刷などは終えているので、第3年度(最終年度)はアンケート調査を実施できる予定となっている。ただし、IT担当者へのインタビューなどから、アンケート調査における質問票の適切な送付先の選定が予想よりも複雑で難しいことも分かってきた。これは企業ごとにIT組織の位置づけや部署が大きく異なっていることに原因がある。現在のところ、より効果的な質問票の回収を目指して送付先の選定を検討中である。企業のIT担当者たちの意見を考慮したうえで、この問題点をクリアにしながら、アンケート調査の実施へつなげるようにする。
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