研究概要 |
本研究の目的は、管理会計論およびマネジメントコントロール論の観点から、IT組織特有の業績評価システムのあり方について検討し、業績評価システムの構築によるIT組織の組織変容について考察を行うことである。本年度は文献調査、訪問調査、アンケート調査を通じて、以下のような成果を得た。 第1に、IT組織の特性に関わる知見のブラッシュアップを行った。文献調査や訪問調査によってIT組織の組織コンテクストについて実態調査を進めることができた。 第2に、IT組織の業績評価システムに関わる課題や問題の妥当性検討を行った。これは主として訪問調査によって実現し、アンケート調査に大きな示唆を得ることができた。また、これによって、松島桂樹編著『IT投資マネジメントの変革』において「情報システム部門の再構築:戦略的IT組織とは」を執筆することができた。 第3に、戦略志向のIT組織の業績評価指標や組織コンテクストに関わるアンケートを完成させた。文献調査と訪問調査によってアンケート内容の精緻化を行うことができた。アンケート調査において1,601社に対してアンケートを郵送し、約11%の回答を得た。これによって、本研究のメインテーマである「戦略志向のIT組織への組織変容」に関わる非常に有益なデータを得ることができた。 第4に、アンケート調査の実施と調査結果の分析を行った。このアンケート調査の分析結果を活用できた研究成果として、日本ビジネス・マネジメント学会第9回全国研究発表大会において「IT組織の組織変革と業績評価指標に関する考察-組織コンテクストとの関係から-」、日本管理会計学会2012年度全国大会において「IT組織の業績評価指標-戦略志向IT組織への変革の観点から-」という研究報告を行うことができた。 以上より、本研究の目的は全体として適切に達成できたと考える。
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