研究課題/領域番号 |
22730368
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
大槻 晴海 明治大学, 経営学部, 准教授 (90350850)
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キーワード | 原価企画 / イノベーション・マネジメント / 戦略コントロール・システム / 製品開発 / 知識創造理論 / 原価管理 / 利益管理 |
研究概要 |
本研究は、総合的利益管理としての原価企画のあるべき姿をイノベーション・マネジメントにおける戦略コントロール・システムとして想定し、これを解明することを最終目的としている。平成23年度は、前年度の研究成果から明らかとなった研究課題、すなわち「イノベーション創出を支援する戦略コントロ-ル・システムとして原価企画を位置づけた上で、多様なイノベーション概念すなわちイノベーションの類型と原価企画との関係性を究明していくこと」に取り組んだ。 まず、漸進的イノベーションと原価企画との関係性について、従来の原価企画研究において関連が示唆されてきた知識創造理論に基づくイノベーション・マネジメント論の面からレビューを行った。その結果、狭義の原価企画(原価管理としての原価企画)と漸進的イノベーションの推進との関係性については既存の理論によって説明が可能であると考えられるものの、急進的または破壊的イノベーションの推進と創出、さらには広義の原価企画(利益管理としての原価企画)との関係性を説明するには限界があり、新たな分析枠組みの検討が必要となった。 そこで次に、文献調査・研究を実施し、近年欧米において盛んになってきた研究開発におけるマネジメント・コントロール・システムに関する研究を整理すると共に、それらに基づいて本研究における分析枠組みの構築を試みた。その結果、環境探査、前提コントロールおよび実行コントロールから構成される戦略コントロール概念に基づき、創出を意図するイノベーションの類型(イノベーション戦略ないし製品開発戦略)に従って3つの構成要素の内容を組み合わせることで、タイプの異なる戦略コントロール・システム(イノベーション戦略実行システムすなわち原価企画システム)を概念化することができるとの仮説に至った。しかし、実証的な調査研究にまでは及んでおらず、本研究の今後の研究課題として残された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
郵送質問票調査を実施する前提となるフィールド調査への協力が思うように得られず、調査票の作成に要する時間及び郵送質問票調査実施のタイミングを見直す必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
フィールド調査に基づいて郵送質問票調査を実施する計画であったが、フィールド調査への協力を得ることが難しい状況であることから、当初の研究計画において調査対象企業としていた3業種10~15社を縮小し、1業種1~3社とする。また、郵送質問票調査の実施の際にはフィールド調査の研究協力要請を行い、了承が得られた企業に対してフォローアップとしてのフィールド調査を実施することにより、調査研究の不足を補完するよう努める。
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