本研究は、自治体が提供する公共サービスの劇的なコスト低減と住民らの満足度の向上を同時に実現することを目論む目標原価管理の意義とその可能性を、質的研究方法に基づいて明らかにしようとするものである。本研究では、自治体における原価情報の活用とコスト情報の利用が組織行動に与える影響に焦点を当て、先行研究のレビューならびにインタビュー調査を行った。くわえて、わが国行政組織を対象としてアンケート調査を実施した。当該調査の結果をうけて、コスト情報を有効に活用している組織とそうではない組織との間にみられる特徴、ならびに、コスト情報の利用方法が組織のマネジメント・コントロールに与える影響についても分析を行った。
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