研究課題/領域番号 |
22730373
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
福田 直樹 兵庫県立大学, 経営研究科, 准教授 (90388405)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 予算管理 / 予算管理の逆機能 / ローリング予測 |
研究概要 |
本研究の当初の関心は、多くの日本企業において成果報酬システムが導入されて以降、なぜ予算管理の逆機能が多くの日本企業で従来よりも顕著に見られるようになってきたのか、および、成果報酬システムと予算管理がそれぞれどのように設計、実践される時にそれらは低減されるのかについて明らかにすることにあった。ただ今年度の成果としては、以下で述べるように途中で研究関心に変更があったことがあり、ペーパーにまとめるまでの段階まで至らなかった。 当初文献調査を進めていったところ、環境変化に年度計画(予算)を対応させ、チャレンジングな目標設定を行い、逆機能を低減させるために、多くの組織でローリング予測が実施されていること、またその実施のいかんによって、必ずしもこれらの期待された成果に結びついていない組織が多い点に関心を持つようになった。ローリング予測は、一般的に計画値と予測値のギャップを見出すことで、アクションプランを適切に編成し直すために用いられるとされる(清水、2009)。しかしながら、実際にはローリング予測による予測値をそのまま目標値とする組織が目立つ点や、決算月がローリング予測の終点とされ、そのことから短期的な思考に陥ってしまいがちな組織が多い点が指摘されている(Bogsnes, 2009;清水、2009)。そのため、必ずしもローリング予測を継続的な計画の策定に用いている組織が多いとは言いがたい。 したがって当初の研究目的より具体的に焦点を絞り、ローリング予測とその成果(予算管理の逆機能、チャレンジングな目標設定、変化に対応した行動計画の考案・実施)との関係を検討すること、および、両者の関係に対して報酬システムが与える影響について考察していくことに対して関心をもつに至った。次年度はいよいよ本研究プロジェクトの最終年度となる。修正した研究関心のもと、新たな課題を明らかにしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績の概要でも述べたとおり、現在までの達成度は、研究関心の変更があったことが主な理由で当初の計画より遅れている状況である。ただ、一般的な予算管理関係の文献調査については実施している(李・松木・福田(2010)など)ので、今後はローリング予測など不足している分野の文献調査が必要となる。次年度は、ローリング予測のいかん(予測内容、予測方法、予測結果の活用方法など)が、アクションプランの再編成や予算管理の逆機能にどのような影響を与えるのか、また両者の関係に対して報酬システムがどのような影響を与えるのかについて明らかにすることで、ローリング予測の有効性について解明していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、全4年間の研究期間のうちの最終年度となる。今後の研究実施の見通しであるが、文献研究を行う中での研究関心の変化があり、研究の進捗のいかんによっては、質問票調査から文献研究ないしはケーススタディ等に調査手法を変更する可能性がある。本研究を遂行するにあたり、予算管理研究やローリング予測に関する文献を中心にレビューを継続していく。ローリング予測の有効性を検討する際には、まずはローリング予測の構成要素と報酬システムも含めたさまざまなコンテクスト要因を明らかにし、さらにアクションプランの編成や予算管理の逆機能に関わる構成要素を抽出することで、理論フレームワークを構築して行く予定である。また、必要に応じて引き続きインタビュー調査を実施することでフレームワークの構築に役立てていきたい。
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