研究概要 |
本研究の目的は、2001年から2010年にかけて日本が利害の当事者となった国際問題という基準で選定した5つの公的イシューに関わる新聞報道を内容分析することで、現代ジャーナリズムのナショナリズム観、現代ジャーナリズムにおけるナショナリズム言説の構造、そしてそれらが示唆する現代ジャーナリズムにおけるナショナリズムの意味を解明し、最終的にはジャーナリズムがナショナリズムと自覚的に対峙可能な環境を構築することである。 上記の目的達成のため、公的イシューに関わる新聞記事のデータベース化、および先行研究の精査に取り組んだ。前者については、平成23年度も作業は継続される。後者については、先行研究の検討を通じてジャーナリズムおよびナショナリズムに関する知識を蓄積するとともに、研究手法の精緻化に努めた。 また、日本のジャーナリズムにおけるナショナリズムをより理解するため、以前から取り組んできたテレビニュースに現れるナショナリズムに関する分析を進めた。具体的には、2008年開催の北京オリンピック報道の内容分析に取り組んだ。その成果は、論文としてInternational Journal of the History of Sport, 27:9に掲載された。また、The 18th Conference of the European Association for Sport Management (EASM2010)において報告された。 さらに、海外のジャーナリズムがナショナリズムという概念に対してどのように対処しているのかについても理解を深める必要があると考え、上記の学会発表に絡めてハンガリーにおける全国放送テレビ局のニュース担当者たちにインタビュー調査を実施した。その成果は、2編の論文として『武蔵大学総合研究所紀要』第20号として掲載された。 以上が、平成22年度に実施した研究の成果である。
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