研究概要 |
本研究の目的は、2001年から2010年にかけて日本が利害の当事者となった国際問題という基準で選定した5つの公的イシューに関わる新聞報道を内容分析することで、現代ジャーナリズムのナショナリズム観、現代ジャーナリズムにおけるナショナリズム言説の構造、そしてそれらが示唆する現代ジャーナリズムにおけるナショナリズムの意味を解明し、最終的にはジャーナリズムがナショナリズムと自覚的に対峙可能な環境を構築することである。 上記の目的達成のため、昨年度から継続して公的イシューに関わる新聞記事のデータベース化に取り組んだ。そして、収集した新聞記事データを元にSPSS Text Analysisを用いた内容分析に取り組んだ。 また、2012年の総選挙において自民党が民主党から政権を取り返した結果、政治的にナショナリズム的傾向が強まるという仮説を新たに立て、その検証を実施するため本研究では分析対象とはしていなかった2010年以降の新聞記事のデータベース化を開始した。 加えて、日本のジャーナリズムにおけるナショナリズムをより理解するために以前から取り組んできたテレビニュースに現れるナショナリズムに関する分析を進めた。具体的には、2008年開催の北京オリンピック報道の内容分析に取り組んだ。その成果をまとめた論文は、Encoding the Olympics: The Beijing Olympic Games and the Communication Impact Worldwide(Qing, Luo and Richeri, Giuseppe eds.,2012, Routledge)に掲載された。 以上が、平成24年度に実施した研究の成果である。
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