研究課題/領域番号 |
22730398
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 聡明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 学術研究員 (00514499)
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キーワード | 韓国 / 北朝鮮 / ラジオ / プロパガンダ / 冷戦 / 心理戦 |
研究概要 |
本年度も、前年度に引き続き、朝鮮戦争期~ポスト朝鮮戦争期において、米国が、朝鮮半島に向けて、どのようなプロパガンダ・ラジオを、いかなる意味をもって行っていたのかについて、「電波戦争」の観点から明らかにする研究に取り組んだ。とりわけ本年度は、冷戦期における沖縄の地政学的位置と戦略的役割に着目して研究を進めた。米国が、いかに沖縄を冷戦期東アジアにおける心理戦の拠点として重要視していたのかを分析し、沖縄がハード・パワーのみならず、ソフト・パワーの両面から「太平洋の要石」になっていた点を明らかにした。 以上の研究を遂行する過程で、本年度は、国内外での史料収集とともに、積極的に国内外での成果発表を行った。史料調査については、米国国立公文書館では朝鮮戦争期のみならず、60年代まで時代をひろげて、米国による心理戦およびプロパガンダ活動の実態を示す史料を幅広く収集した。また、スタンフォード大学では、米国政府だけでなく、米国の民間機関による「心理戦」の実施に関する史料も収集するなど、民間による「心理戦」活動にも着目することで、冷戦期における米国の心理戦を包括的に解明する研究を遂行した。また、台湾や韓国でも継続して史料収集を行い、米国のみならず、韓国や台湾による心理戦の活動に関しても分析を進めた。 以上、国内外で収集した史料の分析を通じて、冷戦期における「電波戦争」の実態が着実に浮かび上がってきている。一部の成果はすでに日本や韓国、米国で発表している。それらを踏まえ、追加的な史料調査を実施しつつ、まとまった成果として活字に仕上げることが、今後の課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口頭発表は数多く行ったが、活字にしたものは少なかった。理由として、いくつかの共著書が、今年度中に刊行されなかったこと。そして私自身が単著を執筆しているため、あえて投稿論文などで成果公表することを避けたことがあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、韓国や米国などでの追加的史料調査を実施しつつ、3年間の研究成果を単著に纏める予定である。その過程では、国内外での口頭発表も数多く行うものとし、そこで受けたコメントや意見を、自著の執筆にフィードバックさせながら、原稿を書き進めていこうと考えている。
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