経済連携協定に基づき来日した外国人ケアワーカー(比人看護師)が、異文化適応の過程において経験しているコミュニケーションの問題は、彼女たちのアイデンティティの問題と深く関わっているということがわかった。不自由な日本語によるコミュニケーションを通じて過去の自分(優秀な看護師である本来の自分)と現在の自分(役立たず、”useless”な自分)との比較を強く意識せざるを得ない時、彼女たちはそのコミュニケーションを「問題」だと意味付けするのである。さらに、周囲の人々が自己イメージの回復を阻害したり助けなかったりした時に、そのコミュニケーションは「問題」として彼女たちに意識されるということがわかった。
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