本研究の主たる成果は、つぎの3つである。(1) 格差が生ずるメカニズムを明らかにするために、3者関係における2つのタイプのゲーム理論的モデル--1つは具体的な分業や貨幣の生成を考えるものであり、もう1つは一般的な3人チキンゲーム--を構築し、そこでの均衡の特徴を明らかにした。(2) 平等と効率の総合的評価基準を提案した。具体的には、2者関係における平等志向という自然な仮定から低所得者ほど配慮する評価基準を導出した。(3) 行為者が異質である状況において、格差とコミュニティ(ネットワーク)が同時に形成されるモデルを構築した。具体的には、12人のネットワーク・ゲームを考え、均衡となるネットワークにおいていかなる格差が生じるかを明らかにした。
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