研究概要 |
本年度は、組織における物理的環境(時空間)の影響を考える上で、組織美学アプローチが有効性を持ちうることをあらためて検証した。具体的事例として、日本の企業組織に特有の時空間である入社式、社葬といった儀礼を取り上げ、社会学的にどのような意味合いを有するのかを明らかにした。また、その成果を世界でもっとも歴史のある社会学会であるXVII World Congress of International Sociological Association (Gothenburg, Sweden)にて発表した。なお、発表タイトルは"The Concept of Organisational Culture and Sociology of Organization in Japan"とし、厳正なレフリー制度を経て発表が承認された。 また、組織の社会学的な研究を行う上で、組織を営利/非営利という枠組みをこえて比較することは、きわめて有効な手段である。本年度は、刑務所、病院、学校、企業を理論的に比較しながら、「組織は社会を生み出す」というテーゼの検証を行い、新たな組織モデルの構築を行った。その成果を、日本社会学会大会において「組織の比較分析の可能性-刑務所、病院、学校、企業」と題した学会報告を行った。そこで得られた知見をもとに「組織が生み出す社会-刑務所、病院、学校、企業の比較から」と題した学術論文を『情報コミュニケーション学研究』第10・11合併号に発表した。
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