子どもとその教育が社会の存立に関わるという日常知がある。社会学も「社会化」などの形で理論的前提としてきた。だが、この感覚は自明の真理だろうか。本研究は、そこから外れる事例を基にこの支配的イメージを問い直し、社会学と子ども研究双方への理論的貢献を目指したものである。 最初の3年間で、戦前期において、上記イメージが教育制度において成立すると同時に別の年少者像もあったことを、工場法や少年法、未成年者飲酒禁止法などの年少者保護法の制定過程の記録の分析から具体的に描いた。最終年度で、言説研究と子ども研究を参考にして理論枠組みを構築し、戦時中や現代の状況の調査と合わせて、日常知を相対化する社会記述を試みた。
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