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2011 年度 実績報告書

自由主義社会における社会的排除:資源分配・ネットワークと自由感によるアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 22730413
研究機関首都大学東京

研究代表者

内藤 準  首都大学東京, 人文科学研究科, 助教 (00571241)

キーワード社会学 / 自由 / 資源分配 / 不平等 / 社会秩序
研究概要

平成23年度は平成22年度にひきつづき,研究実施計画に基づいて経験的研究と理論的研究の両面で研究をおこなった.ただし平成23年度は10月より育児休業を取得し,研究を一時中断することとなった.そのため経験的研究の面では,平成22年度の成果を発展させてまとめるべく,既存の全国調査データを用いた主観的自由指標の分析を深化させる作業をおこなった.その分析結果によれば,現代日本社会は女性の方が男性よりも「生き方の選択の自由」を認識できない状況におかれやすい.またこの性別による「生き方の選択の自由」の不平等は,個人収入を中心とする個人単位の資源が,男女に不均等に分配されているためであることが明らかにされた.以上の成果を論文にまとめ,2012年に刊行される学術図書の一部として掲載することが決定した(2011年11月現在,東京大学出版会にて印刷中).
理論的研究では,平成22年度に論文として刊行した「社会的なルールに基づく社会秩序の分析枠組み」を踏まえ,現代社会においてルールとして用いられている「自由」と「責任」の概念に関する分析作業をおこなった.とくに,政治哲学的な自由論と分析哲学的な自由意志論の検討を集中的におこなった.そのうえで,従来は哲学的にのみ扱われてきたこれらの概念の分析を,「社会的な相互行為においてその概念がルールとしてどのように作用するか」という社会学的な理論的分析に接合することによって,実際の社会的プロセスの分析に応用することを試みた.この研究成果は,育児休業が終了した研究再開後の平成24年度に論文として投稿する予定とする.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度は10月から育児休業を取得し,研究を一時中断するため,当初計画に記載した経験的研究の作業は平成24年度に繰り越すこととなった.調査の遂行が4月から9月までの期間では時間的に不可能だからである.そこで9月までの期間では,本研究のもう一方の柱である理論的研究を中心とした作業をおこない,哲学的な自由論の検討の上で,社会的にルールとして用いられている「自由」と「責任」の概念の働きについて考察した.この成果は平成24年度に再開する経験的研究にも活かせるため,研究はおおむね順調に進展しているといえる.

今後の研究の推進方策

平成24年度は,平成23年度に育児休業のため中断した研究計画を再開する.
経験的研究の面では調査票をもちいた調査の計画を進め,十分に準備が整ったところで調査をおこなう.調査対象地は本務校の所在地である東京都を候補とするが,予算的制約なども考慮してより適切な調査方法があれば積極的に試行する.理論的研究の面では,平成22~23年度の成果をさらに発展させ,論文としてまとめたうえで学術雑誌への投稿をおこなう.
なお,上記の育休による研究中断のため,平成24年度の研究費は23年度からの繰り越し分のみとなる.そのため,平成23年度に使用した文献購入費の分を平成24年度には使用できなくなる。だがこの中断は研究計画遂行上の困難によるものではないため,上記の文献購入費以外の点については,とくに計画の変更は必要としない.
平成25年度は,前年度までに集積したデータ分析と理論的研究に集中し,学術論文・報告書として完成させる.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 『格差社会の福祉と意識』の第7章「自由を規定する要因」2012

    • 著者名/発表者名
      武川正吾・白波瀬佐和子編
    • 出版者
      東京大学出版会(近刊)(印刷中)

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公開日: 2013-06-26  

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