本研究は、グローバル化が進展する現代日本の経済社会の中で、消費行動および余暇活動におけるローカル文化の受容過程を通じて、グローバルな消費文化とローカルな文化との共生について理論的に検討しつつ実証的に説明しようとするものである。その際、グローバル化への文化的反動によって刺激される政治的ナショナリズムとの関連や、文化的防衛反応としてもたらされる反アメリカ化志向などとの関連から総合的な理解をめざす。 本年度は研究計画の初年度として、研究計画の中心となる次年度の量的調査につなげるべく、以下の基礎的な研究活動を行った。 ・消費社会論についての理論的検討、とくにグローバリゼーションとローカル文化の共生という観点を中心として領域横断的な文献研究を行った。また、ナショナリズム概念およびナショナル・アイデンティティ等について文献研究を行いつつ、それらテキストの語句から構成概念を抽出した。実際の和風消費の実態についても、書誌的研究を通じて次年度の調査に際して設定する計量モデルを構築する際の要因となる、和風事物の社会的価値を探索した。 ・和風嗜好に関する規定要因の概略把握を行うべく、過去に行った本研究の先駆となる社会調査データを再分析し、数回の学会報告を行った。また、次年度以降の量的調査に備えて計量分析手法の研究につとめ、成果を著作物として刊行した。 これまでこういった消費文化論の研究領域ではあまり実証的な研究が行われてこなかったが、本研究では量的調査データから計量的に仮説検証に行うことをねらいとする。ただし今年度においては、次年度の量的調査で使用する測定項目の選定となる基礎研究といった位置づけとして、文献研究を中心に行った。
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