研究課題/領域番号 |
22730414
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
廣瀬 毅士 立教大学, 社会情報教育研究センター, 助教 (20571235)
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キーワード | 消費社会論 / グローバル化 / ナショナリズム / ローカル文化 / 和風 / 経済社会学 |
研究概要 |
本年度の研究では、グローバル化が進展する現代の経済社会の中で、消費行動および余暇活動におけるローカル文化の受容過程を通じて、グローバルな消費文化とローカルな文化との共生について実証的な分析を通じた説明を試みた。具体的には、平成22年度の文献研究から得られた知見から、グローバル化への文化的反動によって刺激される政治的ナショナリズムとの関連や、アメリカ化への文化的防衛反応としてもたらされる反アメリカ化志向、および環境志向や健康志向などとの関連を調査課題とし、実証分析で仮説とする命題を設定し、大規模な統計的調査を実施した。調査設問の作成の前には、質問項目について立教大学内の予算を用いてプリテスト(事前調査による検討)を行い、尺度の構成に慎重を期した。 調査の実施にあたっては、調査対象は東京を中心とした首都圏に在住する19歳~69歳の男女個人とし、合計3,000名を計画標本規模とした。調査方法は郵送法にて行い、標本抽出の方法には選挙人名簿を台帳とする多段無作為抽出法を用いた。主な調査項目(質問内容)は、(1) ナショナル・アイデンティティに関する考え方(評価尺度)、(2) 外国的消費文化と日本的消費文化の望ましい関係についての考え方、(3) 個々の和風の消費財(商品および消費の場)についての好意、(4) 個々の外国的な消費財(商品および消費の場)についての好意、(5) 各国の消費文化のイメージについての評価などであり、それぞれ5件法等の選択肢法を中心として測定した。 本年度の研究に関連した研究成果は、日本社会学会での学会大会報告、および経済社会学会への投稿論文にまとめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
計画調書時の当初予定では平成23年度の早い時期に大規模な統計的調査を開始する予定であったが、平成23年3月の大震災の影響によって消費意識・消費行動が平常時とは異なるものに変質していることが平成23年の予備調査(立教大学の学内予算による)で判明した。そのためデータの信頼性を優先して万全を期し、研究計画に掲げた研究目的を正しく反映すべく、調査時期を平成24年度に移動し実施することを決断した。 統計的調査の実施時期に遅れは生じたものの、本年度の研究計画の中核となる大規模調査の実施そのものは円滑に遂行することができた。調査の実施後は、個人情報を含まないデータ整備などを行ったうえで、統計的なデータ分析に供した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究計画で実施した大規模な統計的調査から得られたデータについて、さらに精緻な計量的データ分析を行う必要がある。研究計画の過去の年度の文献研究を通じて措定した研究上の諸仮説について検証を行いつつ、先行研究等との比較も行うことになる。 具体的には、本研究課題の先駆的研究には、本研究課題の研究代表者が研究協力者として参加した平成19~20年度の科学研究費の研究課題(19530473)が挙げられるが、その際に行った統計調査のデータから得た知見など、関連する過去データとの比較研究を行う。 統計的なデータ分析を通じて得た知見、および文献研究から得た知見については、日本社会学会や経済社会学会での研究発表を行いつつ、学会誌への投稿論文としてまとめていく。
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