本研究は、グローバル化が進展する現代の経済社会の中で、消費行動および余暇活動におけるローカル文化の受容過程を通じて、グローバルな消費文化とローカルな文化との共生について理論的に検討し、実証的に説明しようとしたものである。この研究領域はこれまであまり実証的な研究が行われてこなかったが、本研究では諸命題の仮説検証を量的調査データから計量的なアプローチを試みた。 研究課題の最終年度にあたる平成24年度は、23年度の研究計画に基づいて実施した大規模な質問紙調査について、計量的な分析に供するデータの作成および整備を行い、統計データ分析ソフトウェアを用いた計量的なデータ分析を行うことで、これまでの文献研究および予備調査から導出した仮説の検証を行った。調査課題に対応する研究上の仮説としては、グローバル化への文化的反動によって刺激される政治的ナショナリズムとの関連や、アメリカ化への文化的防衛反応としてもたらされる反アメリカ化志向、および食の安全性と関連した産地ナショナリズムを置きつつ、あわせて環境志向や健康志向、消費への態度、さらには社会階層など社会学的・心理的諸要因などとの関連についても検証することで現代日本の消費社会に対する複合的な理解をめざした。 本年度で行った研究の成果は、経済社会学会および日本行動計量学会での大会報告をはじめ、研究代表者が所属する立教大学の研究組織が開催した公開学術フォーラムでの報告、さらには経済社会学会年報への投稿論文としてまとめることができた。
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