研究課題/領域番号 |
22730417
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
周藤 真也 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (60323242)
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キーワード | 産業遺産 / まちづくり / 鉱山 / 炭鉱 / 歴史 / 記憶 |
研究概要 |
本年度は、研究第2年度であり、前年度までの研究準備や基礎研究を踏まえて、本格的な事例研究を行った。具体的には、栃木県日光市足尾町の旧足尾銅山における歴史や記憶を活用した「まちづくり」や地域活性化の取組みについて、資料収集やフィールドワーク、関係者へのインタビューを中心に聞き取り調査を行った。その成果の中間的なまとめは、「3・11から足尾へ-旧足尾銅山における<知>の政治の現在-」(学会発表後、論文として『早稲田社会科学総合研究』第12巻3号所収)として発表した。具体的には、閉山(1973年)前後からの足尾における行政や住民、鉱山会社を巻き込んだ過疎対策や地域活性化、観光開発、企業誘致等の活動や、産業遺産化の流れを確認することを通して、近年の民間レベルでの緑化活動や足尾銅山の遺構の世界遺産登録運動などの位置と、それに至る足尾をめぐるまなざしの変化を確認することができた。 また、今後の比較研究に備えて、前年度に引き続き、国内の朱訪の金属鉱山の事例を視察するとともに、海外の事例の視察を行い、情報および資料の収集を精力的に行った。具体的には、国内においては、明延鉱山(兵庫県)、別子銅山(愛媛県)、石見銀山(島根県)等の金属鉱山、海外においては、西ヨーロッパ(ドイツ、フランス、ベネルクス3国)の炭鉱や金属鉱山等の遺構の産業遺産化や観光化の取り組みにおける鉱山時代の歴史や記憶の扱いついて、十数か所を訪問し、情報や資料の収集に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較研究を行うことを予定していたが、まずは具体的な事例を詳細に見ていくことが重要であると考え、当初の計画から多少の変更を行ったが、並行して比較研究のための準備や資料収集を行っており、全体の進捗状況としてはおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
「研究の目的」として掲げていたように、本研究は「現在、実際に起こっていることがらを具に観察して記述すること」を目的としている。このため、当初、今年度から比較研究に入ることを予定していたが、まずは具体的な事例を詳細に見ていくことが重要であると考え、当初の計画から多少の変更を行った。すなわち、栃木県日光市足尾町の旧足尾銅山の地域における事例を詳細に検討することに重点を置くことにした。しかしながら、並行して比較研究のための準備として国内他箇所や海外における事例の視察と資料収集も精力的に行ってきている。今後は、旧足尾銅山の事例を中心としつつも、それを記述する上で、他地域にも参照する形で比較研究の準備成果を活かして取りまとめていくことを検討している。
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