本研究は、旧産業の遺構や遺物が、地域づくりや観光開発の資源として活用されるとき、旧産業をめぐる歴史や記憶はどのように再構成されるのかを明らかにするものである。本研究では、西ヨーロッパや東アジアにおける類似の事例を参照しながら、わが国の旧鉱山を中心に、旧産業に関わる遺構や遺物の現状と関連した博物館の視察、現地での情報および資料の収集を通して、鉱山の歴史の語りにおける特定のパターンを発見するとともに、ローカルな主題と、他のローカルな主題、あるいはナショナルな主題とが拮抗し互いに争いつつ、旧産業の記憶が構成されている様子を明らかにした。
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