平成24年度は、それまでの既存データの2次分析による、若年非正規雇用層の出身階層上の多様性の分析によって得られた知見、すなわちどのような理由で「フリーター」となっているかによって、出身階層の幅があり、特に「やむを得ず型フリーター」は出身階層において不利である傾向について、より代表性のある調査によって再検証を試みられた。 郵送法とインターネット法によるミックスモードの「働き方と生活についてのアンケート調査」を実施した。調査対象はは全国の23歳から39歳までの男女1200名で、標本抽出枠は中央調査社が保有するマスターサンプルである。有効回答は620 (回収率51.7%)であった。なお、ミックスモードには、並行型と逐次型があるが、先行研究から並行型が回収率に及ぼす影響は少ない事が指摘されていたため、逐次型を採用し、郵送調査の2回目の督促時にネットでの回答も許容するという方法をとった。このためwebでの回答者は24ケースにとどまっている。 このデータの分析によって、例えば、不本意型非正規雇用は本意型型非正規とくらべ「生家の暮らし向きの程度」が、単純集計レベルでは不利な状態にある事が確認された。今後、より詳細な分析を継続する事で、小林(2011)の知見を再検証していく計画である。また、調査モードについての研究成果に関しては、現代社会学事典に社会調査関連を項目執筆を行ったのをはじめとして、日本社会学会での発表、『入門・社会調査法(第2版)』の分担執筆という成果に結びついている。
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