研究課題/領域番号 |
22730420
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研究機関 | 名古屋産業大学 |
研究代表者 |
高橋 陽子 名古屋産業大学, 環境情報ビジネス学部, 准教授 (40387907)
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キーワード | 社会学 / 思想史 / 社会福祉関係 |
研究概要 |
平成23年度は、当該年度よりレフェリー制を導入した日本社会学会に、6月、報告要旨・報告原稿を電子申請し学会エントリー、9月、関西大学で開催された日本社会学会・学史・学説部会において、「Hannah Arendtの思想における『全体主義の起原』の意義」というテーマで研究発表を行った。 本報告では、全体主義概念の変遷を概説するにとどまり、アーレントの思想的基盤としての『全体主義の起原』の意義を論ずるまでにはいたらなかった。 この点について、「全体主義」が、公開の原理に基づく民主主義を根底から否定する社会体制であること論じた研究ノート「ハンナ・アレントにおける「公開」」が、平成24年3月、名古屋大学社会学論集第32号(査読付き)に掲載された。 本研究ノートでは、現代社会の居場所として肯定的に受け止められている親密圏であるが、アーレントの論理で親密圏を検討した場合、アーレントは秘密結社と全体主義の類似性について、ジンメルを援用して論じているが、親密圏と秘密結社にも同様の類縁関係があることを論証した。したがって、親密圏と全体主義社会にも類似性が認められることを明確に示すと同時に、公開の場が、いかに民主社会において重要な要素となっているかを明示した。 秘密の共有、暗黙のルールが支配する親密圏の危うさを論じたことで、現代の社会病理へと研究を進めていくうえで意義あるものとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アーレントの著作の原文読解、彼女に影響をあたえた文学作品や思想家の読解を進めつつ、学会発表、論文投稿をしている。今年度は研究ノートでの掲載であったが、論文として仕上げる下地になったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初、フィールドワークは研究計画に含めてはいなかったが、社会問題、連帯といった事柄を扱ううえで、コミュニティの活動をヒヤリングし分析することが重要な課題として浮上してきた。このテーマについては、対象コミュニティが活動している日曜日、及び夏の長期休みを活用し、文献研究の妨げにならないよう時間調整をしていく。
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