本研究の目的は、ダイアド集積型の家族調査データを活用することで、現代日本における成人親子の世代間関係の趨勢を捉えなおすことである。ダイアド集積型の家族調査とは、家族・親族内の複数の二者関係(ダイアド)を並行的に測定する計量的調査であり、その複層的な情報を活用することで、世代間関係の変動をより適切に把握・説明できる。具体的には、1)欧米で広まっているマルチレベル分析をベースに、世代間同居の多い日本の状況を勘案した方法論的発展を図ること、2)ダイアド集積型の公開調査データの分析により近年の世代間関係のトレンドを記述すること、3)補填的な郵送調査を行うことで分析の解釈に必要な前提の妥当性を検証すること、の3点を目指す。 最終年度の平成24年度は、前年度から実施の成人親子関係の郵送調査を完了し、分析を行なった。調査の回収状態は良好で(計画標本サイズ600、有効回収数416、有効回収率69.3%)、成人子との同別居の違いによって、親子関係の行動およびその評価の仕方がどのように変化するかが明らかになった。ダイアド集積型の家族調査によって、同じ親から見た2人以上の成人子との関係が直接比較できることの意味が大きく、小さな標本サイズの調査から豊富な情報を得ることに成功した。 今年度はダイアド集積型の家族調査の収集および分析方法について、研究成果の一部を雑誌論文および学会大会で報告した。研究期間は終了となるが、分析結果および方法論的研究の成果報告は、今後も継続して行なっていく。
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