研究概要 |
前年度までの若手研究(スタートアップ)から引き続き、ロシアの社会調査研究を実施している。 今年度は、主に旧社会主義国でロシアよりも社会調査研究の分野で発展していた地域の研究を検討した。第一には、旧ソ連のウクライナでソ連崩壊直後に実施された社会調査パネルデータの二次分析を行った。その成果として、比較経済体制学会にて、社会変動期の労働者の地位と意識の変化の関連性、使用言語(ロシア語・ウクライナ語)と地位の変化、第2次産業に従事する人々の地位が主に低下したことなどを報告した。第二には、社会主義体制崩壊前後のポーランド・チェコ・ハンガリーの社会調査研究を検討した。これについては、体制転換期に中間集団として個人を保護した労働組合の役割を中心に論じた書評を、比較経済体制学会誌に提出した。 ロシア・ウラジオストク社会の調査研究を約10年にわたって続けており、今年度は、極東連邦大学で行われた学会「極東の若年労働市場発展の展望」にて、日本の大学生の就職活動について報告した,ロシアと異なり、高度にシステム化されている日本の大学生の就職活動について、高い関心が集まった。人口減少が急激に進む極東でも、若者の雇用は危急の問題となっており、本報告を、ロシアと日本の若年労働市場の相違について、日露両国の研究者が考える機会へと発展させていきたいと考える。実際のところ、極東から日本は距離的には大変近く、ロシアの若者は日本の雇用慣行について関心を持っている。報告の成果は、雑誌『キャリアと地域』に掲載された。
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