研究課題/領域番号 |
22730430
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鳥山 まどか 北海道大学, 大学院・教育学研究院, 助教 (40459962)
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キーワード | 福祉的貸付制度 / 生活福祉資金 / 母子寡婦福祉資金 / 家計 / 家族 |
研究概要 |
本研究は、母子寡婦福祉資金、生活福祉資金といった社会福祉制度としての貸付制度が果たすべき役割の範囲を明らかにし、より効果的な支援ツールとなり得る制度の方向性を示すことを目的としている。 具体的には、次の3つの課題に取り組むものである。 (1)母子寡婦福祉資金、生活福祉資金の創設時~現在までの各種資料を収集し整理する。 (2)母子寡婦福祉資金、生活福祉資金について、資金種類ごとの利用実態とその特徴を明らかにし、課題を探る。 (3)諸外国や民間団体における実践も参照しながら、相談窓口において担当者個人のレベルで行われている相談援助実践を収集・整理して示す。 平成23年度は、上記課題の(2)及び(3)に取りくんだ。(3)については、昨年度に引き続き、グリーンコープ生活協同組合ふくおか(以下、GC)に生活再生事業に関するヒアリングを実施した。GCでは、金銭の貸付と合わせて生活・家計相談を中長期にわたって行っているが、独自に利用者調査を実施し、相談支援活動を見直す取りくみがなされていた。GCは一般的な金融システムから排除されやすい女性とその家族の生活・家計相談に柔軟に対応しており、社会福祉制度としての貸付制度にきわめて近い役割を果たしている。 (2)については、A県において、母子福祉資金の貸付や償還等に携わっている母子自立支援員に対するアンケート調査を実施した。母子自立支援員の仕事から「償還相談」や「貸付相談」が切り離されていき、また、任期付きで雇用されている母子自立支援員の「雇止め」が導入される状況にある中で、相談者家族に中長期的に寄り添いながらの相談支援活動が困難になりつつある現状が浮かび上がってきた。なお、この調査は24年10月に実施予定の全国調査のプレ調査としても位置づけている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生活福祉資金の貸付を行っている都道府県社会福祉協議会や、母子寡婦福祉資金の貸付を行っている都道府県がいずれも、東日本大震災以降、震災対応(緊急小口資金の貸付等)に追われていたことにより、調査依頼・実施時期がずれこむ結果となったが、関係機関の協力のもと、年度内に調査を実施・回取することができた。
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今後の研究の推進方策 |
母子寡婦福祉資金については、昨年度に実施した調査結果の分析をさらに深めつつ、10月実施予定の全国調査に向けて、数人の母子自立支援員への聞き取り調査も実施する。合わせて、貸付・償還状況についてのデータ分析を行う。生活福祉資金については、A県社会福祉協議会が実施した利用者追跡調査の集計・分析作業を本研究において行うこととなっている。 本年度は最終年度であることから、研究全体の総括としての報告書を作成する。これは関係機関や職員にも配布し、情報を共有できる形のものを目指す。
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