本研究の目的は、高齢者が生活を望む場合に、支援とその集落が属する市町村の包括的なアセスメント方法を明らかにすることである。平成22年度の研究は、その支援システムの中に組み込まれる保健・医療・福祉専門職の連携・協働のアセスメントについて、文献研究および調査研究を行った。文献研究では、アセスメントの枠組みとして、エコシステム構想を用いてアセスメントの特性を類型化した。ソーシャルワークの視座について、文献により先行研究を整理すると、他職種と連携・協働する際、ソーシャルワークの視座を具体化するためには、保健・医療・福祉専門職の視座の共通性と特殊性、過疎地域におけるソーシャルワークによる包括的視座の具体化、過疎地域における利用者システムに対する認識と情報共有の方法が課題として指摘できた。なお、この文献研究の成果については、平成22年10月の第58回日本社会福祉学会で学会発表を行った。調査研究のうち、予定していた住民への調査については、調査依頼先の都合もあり、次年度以降に実施することとし、次年度予定していた専門職への調査を今年度実施した。その方法は、ソーシャルワーカーに保健・医療・福祉専門職の連携場面で困難性を抱く事例を選出してもらい、その視点、困難性の内容・特性を考察した。そのうえで、職種による「利用者システム」の認識について考察した。そして、住民と専門職による支援ネットワークの課題をまとめた。その結果、地域住民の生活情報は、住民や専門職間の認識に相違があること、ソーシャルワーカーは他の専門職より業務範囲が広いため、扱う生活情報の解釈が問われることが明らかになった。
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