研究概要 |
平成22年度の研究実績については、まず先行研究の整理・検討を行った。具体的には、(1)ソーシャルワーク理論(ストレングス視点、エコシステム視座、社会構成主義、エンパワメントなど)、(2)障害者福祉(知的障害のある人の生活世界など)、(3)コンピュータ支援ツールに関連する情報科学(特にコミュニケーション促進プログラムなど)、(4)調査方法(インタビュー法やアンケート調査法など)について幅広く渉猟し,整理・検討を行った。 ストレングス視点からのソーシャルワークでは、利用者のエンパワメントに通じる実践が可能となる。そこでストレングスとエンパワメント、その理論的背景となるエコシステム視座と社会構成主義の関係性や特性などに関して整理を行った。特にエコシステムと社会構成主義の包括統合化により、利用者とソーシャルワーカー協働による実践に向けたperspectiveが構築できることを理解し、その特性を分析した。このperspectiveにより、実践展開に向けた理論的基盤を導くことができた。 次にコンピュータ支援ツール開発に関しては、上記の文献研究とともに、エコシステム研究会への継続的な参加と、知的障害者関連施設職員などへの聞き取りを通じて、ツールを介した協働の方法について検討した。特に支援ツールの質問項目の作成については、利用者の語りとストレングスから構成すること、アセスメント局面を検討するために自立支援計画などの計画立案過程に関する内容を把握することが重要であり、以上の内容を含んだ調査デザインを作成した。今後は、利用者と職員にインタビュー調査を継続的に行い、質的研究法により考察していきたい。
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