本研究は、精神障害者が主に利用するグループホームの入居者と支援者が、支援ニーズ及び支援過程を相互に評価するモデル、「精神障害者グループホーム支援評価モデル」を質的研究及び統計学的研究により提示することを目的とする。 今年度は、統計的調査と事例分析によって、グループホーム入居者に対する支援者の支援評価の特性を明らかにすることを目的とした。まず、東京都と神奈川県に所在するグループホームを対象とした統計的調査を実施し、支援者による支援の特性について抽出した。その結果、グループホーム支援者の評価が、「日常生活機能」、「セルフケア機能」、「対人関係機能」、「社会参加機能」という4領域の生活機能から構成されることをとらえた。また、それぞれの生活機能の関連について共分散構造分析によりモデル化した。この結果から、グループホーム支援者による入居者への支援は、入居者のセルフケア機能に働きかけ、その向上を目指すことが、居住生活の維持安定、さらには、対人関係及び社会参加の広がりにつながるということを見出した。 また、統計的研究の成果である支援評価モデルの妥当性を検証するために、東京都内のグループホームにおいて、支援者と入居者による支援についての相互評価を実施し、そこで得られたデータについてストーリー分析を実施した。その結果、入居者がグループホームを拠点に生活を再形成していく過程では、支援の効果として、セルフケア機能が向上し、この機能を基盤に日常生活機能が整い、さらに対人関係が広がり、対人関係を基盤に社会参加を広げていくという、支援評価モデルと親和性の高い結果をえることができた。
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