研究課題/領域番号 |
22730440
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝典 高知県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (20363856)
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キーワード | 彰害者福社 / 地域福社 / 福祉マネジメント・評価 |
研究概要 |
本研究は、精神障害者が主に利用するグループホームの入居者と支援者が、支援ニーズ及び支援過程を相互に評価するモデル、「精神障害者グループホーム支援評価モデル(支援評価モデル)」を質的研究及び統計学的研究により提示することを目的とする。 今年度は、昨年度の研究成果である支援評価モデルの妥当性について、実践事例から検証することを目的に、東京都に所在するグループホーム2ヶ所において実地調査を行った。その結果、支援評価モデルが、グループホーム入居者の居住生活の形成過程とそれを援助する支援者の支援過程との間に、一定の親和性があることを確認した。 あわせて、今年度は、支援評価モデルの研究成果を実践場面に応用するための具体的方策として、支援評価モデルを概念枠組みに援用し、コンピューターを用いた「精神障害者グループホーム支援評価ツール(以下、評価ツール)」を開発した。 この評価支援ツールは、支援評価モデルとその構成概念である支援評価尺度に基づき、グループホーム入居者の「日常生活機能」、「セルフケア機能」、「対人関係機能」、「社会参加機能」という、4つの領域の生活機能に係る評価を数量化するものである。数量化した評価データはweb上で管理することができ、入居者個々の支援を要する生活機能項目や生活機能の経時的変化について、表及びグラフで視覚的にとらえることができる。そのため、グループホームの入居者と支援者が、評価データを共に確認したり、共有したりすることが可能となる。このことから、評価ツールには、グループホーム入居者の自己評価尺度の開発のための基礎データの集積機能を有しているといえる。 今年度は、この評価ツールをweb上で公表するとともに、東京都と神奈川県に所在するグループホームを対象に運用を開始したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
グループホーム入居者の生活機能に関わる自己評価尺度を開発し、統計学的研究によって尺度の信頼性と妥当性を検証することを目標としていたが、その尺度開発のためのデータ集積の仕組みを整え、データ収集を開始するまでに予定以上の時間を要し、その目標が来年度に繰り越されたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は引き続き、評価ツールの運用によって、グループホーム入居者の生活機能に係る自己評価尺度の開発に向けた評価データを集積するとともに、東京都及び神奈川県のグループホームの連合団体の主要メンバーと協働して、当初目標である自己評価尺度及びグループホーム利用者と支援者による支援の相互評価モデルの提示を図りたい。
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