本研究は、相談援助場面における相談者の態度、ソーシャル・プレゼンスの主要因である表情と援助成果の関連性を明らかにすることを目的とする。実際の相談援助場面を撮影、運動解析ソフトウェアにより解析し、援助者の表情と援助成果との関連を見出すことで、援助成果に対する援助者の振る舞いの効果の有無を明らかにできる。これにより、援助者の援助方略のエビデンスを構築し、より実践的・効率的な相談援助業務を提案できると考える。 本年度は次の研究を行った。 (1)相談援助場面のビデオ収録、援助成果と援助業務の評価調査 この記録は主として、福祉施設の相談援助場面における援助者の表情の変化に関する調査を目的とした。また、相談援助の援助成果および援助業務の評価の調査についても行った。相談援助記録は原則として、初回相談に限定する。協力機関(病院)相談員5名にご協力いただいた。面談の様子を、相談者および援助者の顔が映るように、2台のビデオカメラを三脚に固定し、撮影を行った。面談終了後、相談者には、質問紙法により今回の相談援助における援助成果および援助業務の評価を行った。 (2)援助者および相談者の印象と表情の分析 援助者および相談者の表情を客観的な指標で測定することを試みた。(1)によって撮影された動画について、相談援助中の相談者および援助者の様子を第三者に観察させ、それぞれの人物印象を評定させた。さらに援助者と相談者の表情について、どのような表情が、どの程度表出されたか評定を行った。つぎに、(1)によって撮影された動画を、運動解析ソフトウェア(DITECT社製DIPP-Motion XD)を用いて、目元・眉、口元の移動量を測定し、相談者および援助者の表情の物理的な変化量の測定を行った。 次年度は、上記(1)および(2)の解析を行い、援助者の表情と援助成果および援助業務の評価結果との関連性を検討する予定である。
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