本研究の目的は、「認知症高齢者のための在宅環境配慮実践プロゲラム」を福祉現場にて実用可能なツールとなるよう改訂することである。 認知症高齢者のための在宅環境配慮実践プログラムは、(1)アセスメントシートに基づくニーズ把握と在宅環境配慮の目標設定、(2)マニュアルに基づく具体的な在宅環境配慮の実施、(3)実施した在宅環境配慮の評価および課題の抽出、(4)フォローアップから構成される。平成22年の研究から、認知症高齢者のための在宅環境配慮実銭プログラム実用化にあたっては、プログラムの構成要素単体の活用など柔軟な運用が必要であること、経験の浅い介護支援専門員等の研修ツールとしての活動可能性が示唆された。 まず、これまで収集した認知症高齢者の在宅環境配慮を実施した20事例を用いて、プログラム開発過程で作成したアセスメントシートおよび在宅環境配慮の現状評価チェックリスト単体を用いてケアマネジメントのプロセスに組み込むことが可能であるかどうか検証を行った。また、ドイツおよびスウェーデンの自治体担当者等に対し、認知症高齢者への在宅環境配慮に関するアセスメントシートや研修プログラムついて聞き取り調査を実施した。 その結果、アセスメントシートに関しては、既存のアセスメントシート項目に在宅環境配慮に関する項目を追加することにより活用可能であることが示された。 そして、本プログラムの課題とし、物理的な在宅環境配慮(ハード面)と人の関わりやサービスなど(ソフト面)が連動性を高めるようなプログラムではない点が挙げられ、今後の研究の課題であるといえる。
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