研究の最終年度にあたる平成25年度においては、1)小地域福祉活動のアウトプット・アウトカム計測に関する整理、2)小地域福祉活動の推進メカニズムの整理、3)1・2を踏まえた量的調査の再分析と追加調査の試行の3点の実施と研究成果のまとめを予定していた。 1)については、主に「プログラム評価」に関する文献研究と、社会福祉協議会職員の参加を得て組織した「小地域福祉研究会」における議論の整理を行い、平成25年6月に日本地域福祉学会において発表を行った。結論として、小地域福祉活動の「効果(アウトカム)」の計測については、活動推進の目的や目標自体が地域によって異なっており統一的な指標での計測が難しいこと、住民アンケート調査等の実施が必要となり多大な費用・時間を要することなどから、プログラム評価の単純な適用は難しいと考えられることを指摘した。 2)3)についてはこれまでの研究会での議論を踏まえて調査項目の検討を行い、アンケート調査を実施する予定であったが、主要研究会メンバーの異動等により実施が困難となり、平成26年度への繰り越しを行った。平成26年度において1県の市町村社会福祉協議会(44ヶ所)を対象にアンケート調査を実施し、31ヶ所からの回答を得た。分析の結果、地区担当ワーカーの配置、行政計画における小地域福祉活動の位置づけが小地域福祉活動の推進と関わっていることなどが明らかになった。さらに、既存の調査(2009年実施)の再分析の結果、ワーカー配置や計画への位置づけは小地域福祉活動の推進の「間接的」な条件であり、推進組織の組織体制の整備や財政的支援が「直接的」な条件となっていると考えられることが明らかとなった。 以上の結果から、本研究の目的のうち、「効果」の測定枠組みの形成は一部課題が残されているが、小地域福祉活動の推進メカニズムの解明については一定の成果が出たということができる。
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