介護職員の職場環境に対する認識を把握するための聴き取り調査に関しては、近年において若手職員の高い離職率が問題となっていること、また若手職員に焦点を当てた先行研究が十分でないことなどに鑑みて、さらには施設長や介護主任クラスの職員からの意見等も踏まえ、今回は若手職員(就職後3年以内)に焦点を当てて調査を行うことにした。調査の対象施設は、事前協力が得られた近畿地方の特別養護老人ホーム(1か所)の若手介護職員(20歳代)2名とした(さらに2施設4名について23年度4~5月に実施予定である)。調査方法は、半構造化面接法による個別面接調査であり、研究代表者が勤務する大学の個人研究室で2011年3月16日および19日に実施した。調査時間は介護職員1名あたり約30~45分であった。調査内容は、「職場環境について思っていること」であり、「雇用環境」「仕事環境」「人間関係」の3つの観点から語ってもらいながらインタビューを続けた。なお、各施設の施設長および介護職員(調査対象者)に対して、インタビューをICレコーダーで録音することに対する承諾を得ている。分析方法に関しては、修正版グラウンディド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いることとし、現在、3月に実施した2名のインタビューデータより逐語録データの作成を行っている段階である。なお、23年度4~5月に実施する2施設4名を含めた合計6名の逐語録データを作成したうえで、データ解釈による概念抽出を行うことにしている。 介護職員の職場環境に関する国内外の先行研究のレビューに関しては、職場環境を測定するための下位概念として「雇用環境」「仕事環境」「人間関係」が有用であることが確認されたほか、類似概念として「組織コミットメント」「組織文化」などを見出した。また、これらの下位概念を測定する評価基準・指標に関する文献データベースを作成した。
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