平成23年度は、横浜市・延岡市をフィールドとし、高齢者のペット飼育支援について、(1)当事者自身の「語り(ナラティヴ)」をもとに実態を把握すること、(2)地域内でのサポート体制構築のための実践的モデルを構築・提案すること、の2点の研究計画を立案していた。しかし、福祉現場における個人情報の取り扱いの難しさ、並びに、東日本大震災後の混乱のため、当初予定していた計画を進めるととが困難な状況となってしまった。このため、当初計画を若干変更し、(1)これまでの研究成果の理論的考察・学会等での報告、(2)「支援者」となる動物関係者との意見交換・実践への還元、の2点を実施した。 【1】研究成果の理論的考察・学会等での発表「第89回ヒトと動物の関係学会月例会(2011年8月13日)」「日本グループ・ダイナミックス学会第58回大会(2011年8月23日)」「第8回順正学園学術研究コンファレンス(2012年2月26日)」の3つの学会・研究会等で、動物飼育をめぐる要支援・要介護高齢者、及び、福祉職・動物関係者等「支援者」の語りの特徴を、ナラティヴ・アプローチの視点から考察・発表した。なお、助成期聞は終了しているが、2011年2月に実施したワークショップで得られた「支援者」らの言説について、対応分析を用いてその特徴を整理し、「言説の特徴の可視化」から、支援実践に向けた議論を考察した(日本グループ・ダイナミックス学会第59回大会/日:2012年9月22・23日にて報告予定)。 【2】「支援者」との意見交換・実践への還元動物飼育をめぐる「トラブル予防」について、「横浜市地域猫連絡会」のメンバーとともに議論を重ね、特に、飼えなくなった動物に新しい飼い主を見つける「譲渡会」の活動にお、けるトラブル予防として、「行政書士」との連携のあり方をテーマにした実践家向けの勉強会を企画・実施した(企画名:「あかるい第2のニャン生を!~「地域猫」から「家猫」へ:譲渡に関わるQ&A~」/日:2012年4月1日/場所:横浜市市民活動支援センター)。
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