1.平成22度はフローチャートの全体の流れの確認のために文献研究、基盤調査におけるデータの2次的分析を行った。特に、市町村での関係機関の役割についての分析を行うことにより、複数機関が協働で援助を展開する要保護児童対策地域協議会の援助の役割分担を明らかにし、その意思決定ルールにつなげた。 2.日本の市町村でのBest Practiceインタビュー調査を市町村要保護児童対策地域協議会に詳しい研究者2名に行い、要保護児童対策地域協議会におけるBest Practiceの概念の抽出を行い、参考とすべき手続きについてインタビュー調査の対象の選定、および市町村におけるBest Practiceの実践手続きの枠組みを作成した。 3.エキスパートインタビュー調査(市町村実践者5名、アメリカ合衆国2名)を実施し、結果をもとに手続き作成のためのif-thenルール抽出作業を行った。得られたデータはフローチャートの各意思決定場面に分類し、情報→判断→結果・行動のカテゴリーに分析することで、それぞれのエキスパートの頭の中にある意思判断の決定ルールを抽出した。平成23年度はフローチャートにおける残りの意思決定場面でのルールを抽出すべく、さらなるインタビュー調査を行う予定である。 またアメリカ合衆国の新しい在宅支援の形である「Deferential Response(DR)」について、当該年度秋からパイロットスタディを行うイリノイ州でのプログラムディレクターにインタビューを行い、プログラム概要及び基本データについて情報収集を行い、DRとの共通点の多い、日本の在宅支援プログラムへの応用部分についての知見を得た。特に、「家族を変化のプロセスに自主的に参加させるか?」という点について、フローチャートにおける「家族が援助プロセスに参加できる枠組み・手続き」についてのさらなる示唆を得た。
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