研究課題/領域番号 |
22730466
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研究機関 | 神戸女子短期大学 |
研究代表者 |
畠山 由佳子 神戸女子短期大学, 幼児教育学科, 准教授 (60442331)
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キーワード | 社会福祉関係 / 児童福祉 / 実践マニュアル / ケースマネージメント / 児童虐待 / 家族維持 |
研究概要 |
平成23年度は、前年度に確認したマニュアルの中のフローチャート全体の流れを踏まえ、引き続き援助の手続きの流れとチェックリストや記録のための書式作成を行った。フローチャート作成のために、意思決定構造に関する文献を収集し、エクスパートインタビュー調査からのルール作成について、その手続きのため、丁寧に文献研究をおこなった。文献研究結果を踏まえたのち、昨年度からのインタビューデーターに加え、意思決定場面を補足するためにさらに3名のエキスパートに対するインタビュー調査を実施し、追加データを加え、ルールの抽出にあたった。 「ケースマネージメント」という機能をどのように市町村要保護児童対策地域協議会の中に取り込むかについて、全体的な考察をおこなうため、他領域(障がい・高齢者領域)でのケースマネージメントに関する幅広い文献研究を行い、市町村という現場での実践に耐えうるケースマネージメントの機能設定についての考察を深めることとした。 また昨年度からの継続的調査として、アメリカ合衆国での在宅支援「Differential Response」に対するフィールドワーク調査を行った。プログラムディレクター1名、ITスペシャリスト1名、研修担当者1名およびDRスペシャリスト3名、SV3名に対するインタビュー調査及び3ヶ所の民間児童福祉事業所での訪問同行によるフィールドワーク調査、研修資料などを収集し、児童虐待在宅ケースに対する最も先駆的な取組として、そのシステムおよび実践への枠組み作りについて、理論・プログラム開発・プログラム立ち上げについて、実践マニュアル開発に対しての貴重な知見を得た。 当該年度におこなった研究は、次年度の成果物となるマニュアルの土台づくりにとって大変重要な成果が得られたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マニュアルの全体像および実際の実践現場となる要保護児童対策地域協議会での位置づけなどの本研究における基礎固めとなる研究については、計画通りの進展を見せており、次年度に予定される最終成果物となるマニュアルの完成にむけて着実な進展があると考えるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究結果を踏まえ、全国の市町村の実践状況にばらつきのあることから、当初予定の全国的な量的調査を行うよりも、マニュアル作成に必要な要素(意思決定要因、フローチャートおよび細部にわたるブローアップチャート、チェックリスト等の書式)に関しては、さらに質的調査において分厚いデータを得ることが必要であると考え、最終年度も実践者に対する聞き取り調査に加え、先駆的な取り組みをしている市町村に実際に赴き、その取組について密に感じられるようなフィールドワークによる参与観察の手法をとった調査方法により、マニュアル開発に対して必要なデータを収集したい。そのうえで、意図的抽出を行ったサンプルを対象とした質問紙調査により、データを補うことを予定している。
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