現在、財政的制約や人的資源の不足、硬直的な運用等の問題から、障害者の生活課題を解決する上で、公的福祉サービスなどのフォーマルなサポートと併せて、ボランティア、友人、地域住民、などによる非制度的なインフォーマルサポートの活用が注目されている。本研究の目的は、重度身体障害者を対象とし、その主体的な地域生活を支えるインフォーマルなサポートの内容と提供方法を明らかにし、そうしたサポートがより多数の障害者に安定的に提供されるための地域生活支援システムを提案することにある。本年度は、重度身体障害者の地域生活の実像とインフォーマルサポートの受領実態を把握するために、日常生活に長時間の介助を必要とする重度身体障害者6名(脳性マヒ2名、頸髄損傷2名、他2名)に対して、毎日の行動を1週間分記録化する生活記録調査と、聞き取り調査を実施した。その結果、1)定期的な訪問看護や通院などの医療的ケアは重度身体障害者の生活スタイルに影響を与えていること、2)公的介助サービスは、重度身体障害者の生活の維持や社会参加に対して大きな役割を担っていること、3)介助サービスの不足をボランティアの活用により補っている場合や災害時に近隣住民による支援を活用している場合があること、4)重度身体障害者を取り巻く家族外の人間関係として主に、職場や作業所での日常的関係、情緒的サポートを交換し合う同じ障害者同士の関係、何らかの社会的役割を担う中で生じる一般の人との関係があること、把握した。併せて、安定的にインフォーマルサポートを生成させる地域生活支援ネットワークの形成方法を明らかにするために、調査対象地域として都市部と地方の2地域を選定し、文献調査ならびに福祉活動団体などに対する聞き取り調査を開始した。
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