研究1:研修に含めるべき内容(自殺に対する態度に関わる部分)の検討 自殺対策研修に含めるべき内容のうち、特にソーシャルワーカーの自殺に対する態度に焦点を当てて検討した。社会福祉士の職能団体に会員登録する2999名に調査票を郵送し、回答が得られた842名を対象としてデータ分析を実施した。調査票の構成は、自殺に対する態度を測定するAttitude Toward Suicide Scale日本語版(ATTS)の37項目、基本属性項目、自殺に関わる職業上および個人的経験・自殺対策に関する研修への参加経験・自らの希死念慮歴の有無を確認する項目等である。ATTSについて因子分析を実施し、解釈可能な6因子の各下位尺度得点を算出した。各下位尺度得点に対して、性別、年齢、職業経験年数、自殺に関わる職業上および個人的経験、自殺対策に関する研修への参加歴、自らの希死念慮歴に有意な主効果が見られるか検討するため、MANOVAを実施した。その結果、自らの希死念慮歴がある人はない人に比べ、自殺をより容認する態度が認められた。一方、これまでの研修参加経験は、自殺を容認する態度に有意な影響を与えていなかった。本研究により、ソーシャルワーカーを対象とする自殺対策研修には、自殺を容認する態度の変容に寄与するプログラムを含めるべきであることが明らかとなった。また、希死念慮歴のあるソーシャルワーカーに対しては、スーパービジョンなどの配慮が重要であることが示唆された。 研究2:自殺ハイリスク者支援の実践モデルを構築するための予備調査 自殺対策研修に含めるべき内容(知識・技術の向上に関わる部分)の検討に向けて、ソーシャルワーカーによる自殺ハイリスク者支援のプロセスを明らかにするための予備調査を実施した。ハイリスク者支援に携わるソーシャルワーカー2名に聞き取り調査を行い、本調査の実施可能性が確認された。
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