1.ソーシャルワーカーを対象とする自殺対策研修プログラムの開発 昨年度までの研究で得られた知見をもとに、本研究の研究代表者と外部の自殺予防対策の専門家5名で協議を重ね、研修の構成と内容および使用資材について検討した。また、プレ研修を実施し、プレ研修参加者のフィードバックと自殺予防対策を専門とする精神科医師の研究者からの提案をもとに研修の構成・内容、使用資材を改訂した。それにより、ソーシャルワーカーを対象としたエビデンスに基づく新しい自殺予防対策研修と使用資材(テキスト・視聴覚教材)が開発された。研修は約6時間で、講義に加えグループ討議およびロールプレイ演習で構成されている。 2. ソーシャルワーカーを対象とする自殺対策研修の効果検討 上記1で開発された研修について、自殺や自殺予防に関連する知識・技術・態度・自己効力感のうち、どの要素の改善・向上に効果または制限があるのかを明らかにすることを目的として、研修の効果検討を実施した。2つの都道府県社会福祉士会が本研究で開発した自殺対策研修を採用して研修を主催し、その際、研修実施の前後で研究参加に同意が得られた研修参加者に質問紙調査を実施した。調査内容は①自殺に対する態度、②自殺や自殺予防に関する知識、③自殺ハイリスク者への応答スキル、④自殺ハイリスク者へのソーシャルワーク実践の自己効力感、⑤属性等、⑥研修満足度、⑦研修の転用、⑧自殺予防活動の取組状況とした。その結果、本研修は、ソーシャルワーカーの自殺や自殺予防に関連する知識・技術・態度・自己効力感に一定の効果があることが明らかとなった。また、研修満足度も高く、研修の実施可能性が高いことが示唆された。
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