平成23年度は、不公正尺度を含む公正尺度を開発して、その信頼性と妥当性を検討した。平成23年度は、公正尺度の妥当性を探るための基準変数について改めて検討した。Folger(2001)らが予測するように不公正な体験は、直感的な怒り感情につながると考えられる。そこで本研究は、不公正や公正さが影響与える基準変数としてストレス反応やバーンアウトを仮定した。これらの変数をベースとしたアンケートを作成し、看護師を対象としたサーベイを実施した。 看護師254人から得られたデータを分析したところ、公正さストレス反応やバーンアウトの間に相関があることが見いだされた。また公正さとストレス反応やバーンアウトの関連をより詳細に検討したところ、個人の自己制御志向が、両者を媒介することが明らかにされた。具体的には、手続き的不公正は、必ずしも直接的にストレスを強めるわけではない可能性が示唆された。これは不公正の直感的な影響を予測する本研究とはやや異なる結果である。今回の看護師を対象とした調査は、縦断的なデザインを採用しており、本年6月に2回目の調査を行う。その際に、因果関係について、より詳細な検討を行う予定である。 さらに私は、手続き的公正要因にも注目した。手続き的公正要因は、一貫性、代表制、修正可能性、倫理性、偏向の抑制、正確性という7つがよく知られている。これらのどの要因が手続き的公正判断をより強く規定するかという研究はこれまで行われてこなかった。そこで、私は、社会人300人を対象としたネット調査を実施した。重回帰分析の結果は、一貫性と正確性がより強い規定力を持つというものであった。24年度以降は、各要因の交互作用も仮定した分析を進める予定である。
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