研究課題/領域番号 |
22730488
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
繁桝 江里 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (80410380)
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キーワード | 社会系心理学 / 対人コミュニケーション / 職場ストレス / ネガティブフィードバック |
研究概要 |
本研究の目的は、仕事に関わる能力や行動に関するフィードバックを受けることが、仕事への態度や送り手に対する評価に与える効果を明らかにすることである。特に、ネガティブなフィードバック(NF)が効用をもたらす条件として、表現方法や受け手の個人特性、および、周囲のサポートに注目し実証的に解明する。2011年度は以下の研究を行い、得られた知見は、若手社員のストレスや離職の問題の解決に対し、重要な示唆を与えるだろう。 ◆インタビュー:2010年度に内定取得後にインタビューを行った対象者に対し、入社後の職務、フィードバックに関わる経験、適応状態について尋ねた。 ◇結果:上司からのフィードバックによる正負の影響が大きいこと、教育係の先輩や同期が重要なサポート源であることが分かった。内定取得時には内定先と自分との適合度を高く評価していたが、入社後は職務自体にはストレスを感じる人が多く、そのストレスがサポートによって緩和されていた。 ◆調査:大学4年生を対象に、職場への期待およびその規定要因を検討した(NFの効果の仮説の検討は、2012年度の就職後の調査と合わせて行う)。 ◇結果:職業価値観として、挑戦を重視する人ほどNFを期待し、確実性を重視する人ほどポジティブなフィードバック(PF)を期待する傾向がみられた。大学時代の経験はPFよりもNFの期待と関連し、困難や挫折を経験しているほど職場でのNFを期待している。 ◆実験:大学3年生を対象に、主体性と協調性をPRする模擬面接を行い、面接官が主体性に対するNFを行った。実験条件はNFの表現方法であり((1)NFのみ、(2)NF+協調性に対するPF、(3)NF+主体性に関するアドバイス)、従属変数は、NF前後の感情状態、面接官に対する評価などである。 ◇結果:面接官に対する評価は上記(2)が最も高く、(3)はサポーティブであると同時に脅威を与えると認知された。 感情状態はNF後に低下するが、表現方法間の有意な差は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画で示した調査、および、インタビューは予定通り実施したが、実験の参加者数が計画より少なく、2012年度にデータを補充する必要があるため。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度は全てのデータを取り終え、その分析に基づき各研究法で得られた知見を有機的に関連づけることを目標とする。 関連付けを進めるために、本研究で扱った変数のみならず、その時代背景としての今日の社会情勢や大学生の価値観について、より広い視点で情報収集し、本研究の知見の解釈に役立てる。 2011年度の実験の参加者数を補充する必要があり、研究計画を変更し、11月頃に参加者募集を行う。
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