ストレスを体験したときに身近な人に相談することは、多くの人に好まれるストレス対処法であり、その有効性が確認されている。一方、相談される側にとっては、自分が頼りにされていることを嬉しく思う反面、相手の悩みにうまく対応できなかったことが、新たなストレス源になることもあるだろう。しかし、従来行われてきた関連研究では、相談される側の視点に立つものは比較的少なく、十分な知見の蓄積があるとは言えない。そこで本研究では、一般の人(心理臨床家のように系統だった訓練を受けていない非専門家)が、こころの悩みなどについて他者から相談を受けた際に、どのような困難を感じ、実際にどのような対応を行っているのかという問題について検討した。 平成22年度は、非専門家にとって困難度の高い(対応しにくい)相談内容を同定した上で困難度の高い相談と困難度の低い相談に対する非専門家の対応と、その対応に対する非専門家自らの評価を明らかにすることを研究の目的とした。具体的には、非専門家にとって困難度の高い(対応しにくい)相談内容および、相談への具体的な対応方法と、それに対する評価のバリエーションを自由記述式の質問紙を用いて収集した。調査対象者は大学生148名であった。そして、集めたデータを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによって分析し、非専門家がどのような枠組みから「相談内容」を認識し、どのような要素を持った問題に対して対応の難しさを感じているのかを明らかにした。 また、これらの分析結果などを元に、相談への対応と評価を測定する質問項目を作成し、大学生180名を対象に質問紙調査を行った。
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