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2011 年度 実績報告書

教室における規範逸脱行動に対する個人要因および状況要因の影響

研究課題

研究課題/領域番号 22730508
研究機関奈良教育大学

研究代表者

出口 拓彦  奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (90382465)

キーワード教育系心理学
研究概要

ダイナミック社会的インパクト理論(DSIT;Latane et al.,1994)を基に,ゲーム理論(e.g.Axelrod,1984)における利得行列(自己と他者における行動の組み合わせによる利得を示したもの)を組み合わせたコンピュータ・シミュレーションを行った。具体的には,メール,内職飲食,音楽(の試聴),授業と無関係の私語,授業に関する私語,という教室における6つの規範逸脱行動を扱った。そして,「自分も周囲も遵守(R)」「自分は遵守,周囲は逸脱(S)」「自分は逸脱,周囲は遵守(T)」「自分も周囲も逸脱(P)」という4つの状況に関する満足度等を質問紙調査によって測定したデータをシミュレーションに入力し,逸脱行動の頻度や学生(セル)の適応度を算出した。
その結果,「授業に関する私語」における逸脱率の最大値は,他の5つの規範逸脱行動に比べて高い値を示した。さらに,「授業に関する私語」と「内職」においては,逸脱率が高い試行ほど適応度も高い,という正の相関が示された。ただし,「授業に関する私語」では,「遵守」の行動基準を持つ者は,逸脱率と適応度の間に負の相関が示された。つまり,行動基準によって両者の関係が異なる可能性も示唆された。
また,質問紙調査によって得られたデータの分析により,「内職」や「授業に関する私語」では「逸脱」という行動基準を持つ者の数が,他の逸脱行動に比べて多い傾向も示された。そして,「逸脱」という行動基準を持つ者の逸脱頻度は,他の行動基準(「同調」等)を持つ者に比べて高い値を示した。
以上のことから,本研究におけるシミュレーションは一定の妥当性を有すると考察された。なお,これらの結果は,今年度の学会等で発表する予定である。この他,DSITのモデルの1つである「派閥サイズモデル」の特性について分析するために,「仲間集団」の影響などに着目した基礎的な検討も行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

シミュレーションおよび質問紙調査ともに,当初の計画通りに進んでいる。また,研究成果も,国内外の学会や学術論文上で着実に報告している。さらに,今までのところ,研究の進展に関わる問題も特に生じていない。以上のことから,概ね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

基本的に,当初の計画通りに研究を進行する。シミュレーションおよび質問紙調査によって,教室における規範逸脱行動の発生過程に対する検討を行う。特に今年度は,発達的な観点を含めて研究を行うことを計画している。また,昨年度までの研究結果については,学会等で発表する準備を進めている。
今のところ,研究計画を変更する必要性や,研究を遂行する上での問題は特に生じていない。したがって,研究期間中に,当初の目的は達成可能であると考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 教員および仲間集団が教室における規範逸脱行動に及ぼす影響-派閥サイズモデルによるシミュレーションー2012

    • 著者名/発表者名
      出口拓彦
    • 雑誌名

      教育実践開発研究センター研究紀要

      巻: 21 ページ: 65-73

    • 査読あり
  • [学会発表] 規範逸脱行動に対する規範意識・態度と逸脱頻度の関連-自己と友人の関係に着目した検討-2011

    • 著者名/発表者名
      出口拓彦
    • 学会等名
      日本心理学会第75回大会
    • 発表場所
      日本大学(東京)
    • 年月日
      2011-09-16
  • [学会発表] 規範逸脱に対する行動基準と行動頻度の関連2011

    • 著者名/発表者名
      出口拓彦
    • 学会等名
      日本教育心理学会第53回総会
    • 発表場所
      北翔大学(北海道)
    • 年月日
      2011-07-24
  • [学会発表] Effects of principles guiding behaviour on spread of rule-breaking behaviours in the classroom2011

    • 著者名/発表者名
      Deguchi, T.
    • 学会等名
      The 12th European Congress of Psychology
    • 発表場所
      Istanbul, Turkey
    • 年月日
      2011-07-05

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公開日: 2013-06-26  

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