研究課題
ゲーム理論およびダイナミック社会的インパクト理論を基に,個々人の態度が,周囲の人々との相互作用を通して規範逸脱行動に至る過程や,逸脱行動と適応感の関連について検討した。当該年度は,昨年度までの研究をふまえ,生徒や大学生の教室における規範逸脱行動について,質問紙調査やシミュレーションを基に考察した。また,研究で得られた知見を基に,「教室における規範逸脱行動に関する授業案」を作成した。シミュレーションは,実験的に作成した利得行列を用いたものだけでなく,質問紙で測定した「規範逸脱行動に対する態度」に関するデータ(利得行列)をコンピュータ上の各セルに代入する,という方法を用いたものも行った。シミュレーションの際,「セル」は「生徒」を表すものとした。各セルは,周囲のセルが持つ状態と自分の利得行列に従って,自己の状態を変容させた。実験的に作成した利得行列を用いたシミュレーションの結果,逸脱行動の拡散には「閾値」のようなものがあり,規範が守られていたクラスであっても,自分の態度を反映させた行動の頻度が僅かに増えるだけで,急激に逸脱行動が広がる可能性があることが示された。また,中学生を対象とした測定による利得行列を用いた「シミュレーションの出力」(逸脱行動拡散の度合い)と,質問紙によって測定された「実際の拡散の度合い」を比較したところ,授業中の私語等の逸脱行動については,両者に正の相関が示された。これは,シミュレーションの妥当性を示すものと考えられる。さらに,利得行列の種類と適応感の関連についても検討したところ,学業に関する適応感については,「遵守」が最も高い適応感を示した。これらの研究結果は,学会や学術雑誌上で発表(掲載が決定したものも含む)した。「教室における規範逸脱行動に関する授業」については,授業の受講者を対象として質問紙調査を実施した。現在,得られたデータを分析中である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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教育実践開発研究センター研究紀要
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奈良教育大学紀要(人文・社会科学)
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