コンピュータ・シミュレーションと質問紙調査によって,規範逸脱行動の拡散過程を検討した。その結果,規範逸脱行動が拡散する条件として,以下の3つが挙げられた。①「個人要因」と「状況要因」の双方を基にして,個々人が自分の行動を決定すること。②「逸脱」の行動基準を持つ者の数が,「遵守」の行動基準を持つ者の数よりも多いこと。③規範を逸脱している者の(周囲の学生に対する)影響力が,遵守している者の影響力よりも大きいこと。また,シミュレーションの出力(推定値)と,質問紙で測定された逸脱頻度(実際の値)の間に,正の関連が複数示された。つまり,本シミュレーションは一定の妥当性を持つことが示唆された。
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