本研究の目的は、保育者(保育士及び幼稚園教諭)と小学校教諭の道徳指導観を比較検討することであった。現職の保育者・小学校教諭と保育者・教員養成課程の学生を対象として、幼児期に道徳性や規範意識の芽生えを培う上で配慮すべきことについて自由記述を求め、テキストマイニングの手法を用いて分析を行った。その結果、小学校教諭が道徳教育の目標や指導内容を重視する記述を行うのに対して、保育者は子どもの思いや気持ちに寄り添うことを重視する記述を行う傾向にあることが示された。また、こうした相違は養成課程の学生の段階から認められるものの、学生は現職者よりも賞罰による直接的な指導を志向する傾向にあることが示された。
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