研究概要 |
平成23年度は,他者とのやりとりによる知の構成過程を明らかにするために,留守家庭に在籍する小学校3年生を対象に行った平成22年度における実験の分析を行い,その内容を国内外で発表するとともに,論文化して投稿した。 具体的には,学会発表として,the 11th Intemational Educational Technology Conference,日本発達心理学会第23回大会において,ポスター発表を行った。また,九州大学の丸野研究室の研究会にも参加し,研究発表を行った。どちらの発表においても,やりとりから深い知見が得られたというように,論文化する際に非常に有益なものが得られた。これらをもとに,データを論文化し,教育心理学会に投稿した。なお,2012年4月現在,投稿した論文の第1回目の査読を終え,再投稿したところである。 実験結果は,子どもに対して,協応的に振る舞う方が,子どもの知識獲得を速やかに導くというものである。この結果は,やりとりを楽しめるような雰囲気をつくっていかなければ,やりとりをいくら行ったとしても,相手の言葉の真意等を受けとることができず,結果的に,学習が阻害されるということを示している。 そういう意味では,国内外で発表を行ったことで,従来,子どもの知識構築の仕方の変化のみに注意を払っていた従来の発達観に対し,情報提供する側とそれを受けとる(子ども)側という2者の関係性の変化という新たな発達観を持つことの重要性を広く知らしめることができたと考えられる。
|