研究課題
本年度の研究活動は、主に次の3点にわけることができる。1.大学授業における学生による世界観の批判的再構築の検討歴史系の教養教育科目において学生が毎回提出するミニッツペーパーを分析し、学生の世界観が自己中心的視点のものから、他国の視点も含めた複眼的視点への移行する過程を明らかにした。現在のところ予備的調査と分析であるが、明らかになった事柄については、8月19日開催の京都大学-ロンドン大学教育研究所合同の国際コロキュウムにおいて発表をした。2.アカデミックライティング教育研究の視点と方法に関するレビューアカデミックライティング教育研究の重要な視点のひとつであるacademic literacies approachの文献をレビューし、その可能性と課題についてレビュー論文にまとめた(「大学教育」第8巻第1号に掲載)。academic literacies approachは大学における知識の生産・共有・学習という文脈にライティングを位置づけているという点で大変興味深いアプローチであり、教育実践上の示唆も大きい。一方で、研究対象が「書かれた文章のあり方」に偏る傾向があり、執筆者である学生の成長発達が視野に入りにくいという限界が見える。その結果、提案される教育方法論がスキル教育中心のライティング教育論との相違が目立たないものになるという課題があることを指摘した。3.学生の知識生産への参画についてアカデミックライティング教育に関するプログラムを開発する上で、学生がレポートを執筆する意味を理解できる授業をデザインして実践した。そこでは学生は知識生産に参画するためにレポートを書くという説明を取り入れたが、それに対する学生の反応を現在分析中である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Finding Meaning, Cultures Across Borders : International Dialogue between Philosophy and Psychology
巻: 4 ページ: 109-114
大阪市立大学大学教育
巻: 第8巻第1号 ページ: 47-51